サスペンス・スリラー映画の記事 (1/10)

『パーマーの危機脱出』 サラリーマンスパイ、ベルリン出張編

パーマーの危機脱出 切り絵風イラスト


『パーマーの危機脱出』  原題:FUNERAL IN BERLIN

監督:ガイ・ハミルトン
出演:マイケル・ケイン、オスカー・ホモルカ、エヴァ・レンツィ、ポール・ハシミッド ほか


英国情報部のハリー・パーマーに、東ドイツから西側諸国への亡命を希望するストック大佐
を保護する任務が与えられ、さっそく現地へ飛んだパーマーだったが、亡命の裏には陰謀の
影があった。







『国際諜報局』の続編である『パーマーの危機脱出』をDVDで観ました。
前作の感想はこちら。
監督は前作のシドニー・J・フューリーから、
007シリーズを4作品を手掛けたガイ・ハミルトンにバトンタッチ。
音楽担当もジョン・バリーからコンラッド・エルファースに代わっています。


映画の舞台の大部分がイギリスからドイツのベルリンに変わっていたり、
謎の美女サマンサ(エヴァ・レンツィ)が登場していることもあって、
前作の渋い雰囲気が若干和らいだ感じがしないでもないのですが、
やはりマイケル・ケイン演じるパーマーが小気味よく任務をこなしていたので、
続編としては悪くない仕上がりでした。


映画の序盤、上司のロスに弱みを握られているため、
有無を言わずにベルリンへの任務に駆り出されるパーマーの姿が
現代の会社員と重なります。
しかも、偽の身分が「下着のセールスマン」と来た。
偽名だって、自分で決めさせてもらえないという悲哀。
この時点でパーマーへの感情移入度が30点ぐらい上がりました。

ベルリンで亡命を希望するストック大佐との接触に成功したパーマーですが、
亡命の裏に何かあるのではないかと勘ぐる用心深さがスパイらしくて良いです。
皮肉っぽくて、クールなパーマーだけど、内に秘めた計算高さが随所に見られます。


時を同じくして偶然出会った美女のサマンサと亡命を手助けする組織の出現によって、
ストーリーが少し複雑化しますが、どういう風に話が転んでいくのか分からない錯綜した感じも
面白さのひとつだと思いました。
パーマーは銃を携帯しているものの、1発も撃つこともなく、
もっぱら撃っているのは敵側という地味さ加減でしたが、
ラストでパーマーが一個人としての気概をちらっと窺えるシーンが
味わい深くて印象的でした。

スパイだって、人間だもの。



2月19日に、シリーズ3作目の『10億ドルの頭脳』のブルーレイとDVDが発売予定です。


映画メモ


・映画『パーマーの危機脱出』登場銃器一覧(海外サイト)

・映画のロケ地、イギリスのロンドン、パインウッド・スタジオ、ドイツのベルリン。

・偶然を装って、美女が近づいてきた時は気を付けないとダメ。

・DVDの映像特典はオリジナル劇場用予告編。









スポンサーリンク



    

『国際諜報局』 最後眼鏡なしでも大丈夫だったのだろうか?

『国際諜報局』  原題:THE IPCRESS FILE

監督:シドニー・J・フューリー
出演:マイケル・ケイン、ナイジェル・グリーン、ガイ・ドールマン ほか

英国諜報部員のハリー・パーマーは、組織にさらわれた科学者の救出を命じられる。
しかし、そこには恐るべき罠が待ち受けていた。(Amazonより引用)







DVDにて、マイケル・ケイン主演の『国際諜報局』(1964年)を鑑賞。
シリーズ3作目の『10億ドルの頭脳』が初ソフト化されることが決まったことを知り、
前々から気になっていた映画シリーズで、なおかつDVDがお求めやすい価格ということもあって、
1作目を初めて見ることになりました。


この映画が公開されていた頃といえば、007シリーズが人気を博していた時期ですが、
豪華絢爛で派手なジェームズ・ボンドと違い、本作は打って変わって地味かつ硬派な内容で、
対極をなしています。
しかしながら、映画に関わったスタッフの面々を見てみますと、
プロデューサーのハリー・サルツマン、音楽のジョン・バリー、美術監督ケン・アダムは
007シリーズの常連だったりします。
さらに、ジェームズ・ボンドの愛銃ワルサーPPKもプチ出演。


主人公ハリー・パーマーは犯罪を働いたことがバレたことがきっかけで
スパイにリクルートされた軍曹。ジェームズ・ボンドのように高級車を乗り回さないし、
秘密兵器を使うわけでもなく、スーパーで買い物し自炊している、いわゆる庶民派。
映画のオープニングではパーマーがベットから起きて、コーヒーを淹れ、身支度を整えるという
会社員みたいな日常が描かれています。

スパイの仕事も外回りとデスクワークが半々で、
いちいち報告書を書かないといけないので、会社員と変わんない。
実際のスパイも地味な仕事らしいけど。


誘拐された科学者を取り戻す任務も
力づくで奪い返すのではなく、普通に誘拐した側にお金を払って、
科学者と交換するという事務的なもので、ザ・ドライ。
映画の後半はパーマーの身辺が危うくなり、じわじわとサスペンスが高まって、
地味ながらもスパイの非情な世界が垣間見える終わり方でした。

眼鏡越しから人物を撮ったり、斜めのアングルなど
エッジの効いたカメラワークが良い仕事をしており、
映画の硬派な雰囲気に貢献していました。

アクション自体は数えるほどしかないし、
文字通り地味なんだけど、大人なスパイの雰囲気が良く、
自炊しているパーマーのキャラが共感した1本でした。




映画メモ


・映画『国際諜報局』登場銃器一覧(注:海外サイト)

・英国アカデミー賞では、作品賞、撮影賞、美術賞を受賞。

・DVDにはTV放映版日本語吹替音声が収録。








スポンサーリンク



    

『オリエント急行殺人事件』 灰色の脳細胞の苦悩

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)


『オリエント急行殺人事件』 原題:MURDER ON THE ORIENT EXPRESS

監督:ケネス・ブラナー
出演:ケネス・ブラナー、ペネロペ・クルス、ウィレム・デフォー、ジュディ・デンチ ほか


豪華寝台列車オリエント急行内で、アメリカ人の富豪ラチェットが何者かによって刺殺される。
列車に乗り合わせていた私立探偵のエルキュール・ポワロは、乗客の中に犯人がいると確信し、
一人ひとりアリバイを探っていくが、捜査は難航してしまう・・・。








●映画館の様子


映画館に着いた時間が上映開始時刻ギリギリだったせいか、
あるいは上映スクリーンの座席数(133席)が少なかったせいか、
入った時には4分の3ぐらい席が埋まっていた状態でした。

後方の席もいくつか空いていましたが
通路側が埋まっていたため、やむなく前から2番目の席を確保することに。
スクリーンに近いため、画面の大きさに迫力はあるんだけど、
首を上に傾ける姿勢が続いて疲れてしまうのが難点だった。




●映画の感想


観たのは字幕版。
ヨーロッパの訛りの違いが聞けたので、
吹替版を選択しなくて正解でしたし、
鋭く響く銃声の音響が良かった。

すでに原作と1974年に映像化された映画も観たことがあり、
犯人が誰であるかを知っている状態だったので、
ミステリーとしての驚きはあまりなかったのですが、
今回の2017年版『オリエント急行殺人事件』は登場人物の設定などを
少し変更しつつも、より感傷的な方向性に軸を移していて、
豪華なキャストの演技合戦も合わさって、悪くない仕上がりでした。

作り手としても、世間的に「オチ」を知っている人が多いだろうと見越して、
謎解きよりもドラマを重視する描き方で進めた感じが見て取れました。
ラストあたりなんか、崖は出てこないけど、
日本の火曜サスペンス劇場のドラマが頭にちらついてしまった。


吹雪の舞う雪山の風景が、より孤立感を深め、
上から下へ移動する流動感のあるカメラワークや
俯瞰の構図を多用していて、事件の背後に隠されたエピソードの悲劇性も
手伝って、神様の視点を意識するような感覚がありました。


エルキュール・ポアロ役といえば、TVドラマ版のデヴィッド・スーシェがしっくり来るのだけど、
ケネス・ブラナーが演じているポワロは違和感もなく、スッと受け入れられました。
スーシェ版ポワロよりも、でかい口髭が特徴的。
監督と主演も兼任しているブラナーは芸達者です。


・映画『オリエント急行殺人事件』公式サイト



・デヴィッド・スーシェ版のポワロ Amazonビデオ


・映画パンフレット




スポンサーリンク



    

『ダンケルク』

DUNKIRK


『ダンケルク』 原題:DUNKIRK

監督:クリストファー・ノーラン
出演:フィオン・ホワイトヘッド、トム・グリン=カーニー、ジャック・ロウデン ほか







結局、IMAX版ではなく、いつも利用しているTOHOシネマズのスクリーンで観ました。
そこまで意識しなかったけど、やはり画面サイズが少しだけ小さかったような。

戦争映画というよりは、いかにして数十万人のイギリス兵が
故国に帰還できるのかを、陸海空の視点でジリジリと描くサスペンス調の
サバイバル映画みたいな内容でした。


イギリス空軍とドイツ空軍による航空戦や砲撃シーンはあるものの、
敵であるドイツ軍の姿は極力画面に映らず、戦闘で兵士の手足が吹き飛ぶといった
血みどろシーンも限りなくゼロ(あえてそうしている)だったので、
戦争物というよりは、「困難な状況下」を体験させるアトラクションっぽさがありました。

IMAX版の画面がカットされていないバージョンで観ていないからか、
それとも思っていた内容と少し違っていたからなのか、
他の人の感想のように、思いっきり心を揺さぶられるところまでいかなかったので、
モヤっとしてしまった。


魚雷攻撃で実物大の船が沈んだり、
戦闘機のスピットファイアがビュンビュン飛んだりと、
なるべく実物志向で撮ろうというノーラン監督の意気込みは伝わってくるんだけど・・・。

やっぱり、IMAX版で観たら、印象が違ってくるんだろうか。



・映画『ダンケルク』公式サイト

●映画メモ


・エンドロールが意外と短め。

・日本語字幕 アンゼたかし。

・スピットファイアを操縦するファリヤーを演じたトム・ハーディがおいしい役どころ。




●ブルーレイ&DVD、4K ULTRA HD&ブルーレイセット






スポンサーリンク



    

『ロスト・バケーション』 夏だ!鮫だ!噛まれた!

ロスト・バケーション [SPE BEST] [Blu-ray]

『ロスト・バケーション』 原題:THE SHALLOWS

監督:ジャウマ・コレット=セラ
出演:ブレイク・ライブリー、オスカル・ハエナダ、ブレット・カレン

亡き母が教えてくれた秘密のビーチ。医学生のナンシー(ブレイク・ライブリー)は
休暇を利用し、ついにそのビーチを訪れる。母に先立たれた父と幼い妹の世話、
医師となる為の勉強漬けの日々から解放されるナンシー。
そんな彼女の最高の休暇は、一匹の巨大な人喰いザメによって、一転恐怖に
支配されることになる―。脚を負傷し、大量に出血しながらも、無我夢中で近くの
孤立した岩場に泳ぎ着いたナンシーは、自分が絶望的状況に追い込まれたことを知る。
生存へのリミットが刻一刻と迫る中、彼女が選んだ究極の決断とは―。(Amazonより引用)







Amazonビデオにて、ジャウマ・コレット=セラ監督作の『ロスト・バケーション』 (字幕版)を観ました。

ジャウマ・コレット=セラ監督といえば、これまでにリーアム・ニーソンと組んで
孤立無援状態の主人公が悪戦苦闘するスリラーを手掛けてきましたが、
本作も似たテイストの映画になっています。

さすがに60歳超えのリーアム・ニーソンに鮫と戦わせるのは酷だろうということで、
若手のブレイク・ライブリーにバトンタッチ。
何気にブレイク・ライブリーの出演映画を観たのは、これが初めてです。


86分という短い映画だけど、
ヒロインが鮫に襲われて以降は気が抜けないし、
あの手この手で生き延びようと試行錯誤する様子に目が離せませんでした。
ハラハラドキドキの中にも、意外な共演者を登場させて、
スリリングとホッコリのメリハリをつけていた。


登場人物は10人いるか、いないかの小規模で、
映画の舞台のほとんどは海と砂浜。
ヒロインが何とか泳ぎ着いた岩場から砂浜までは100メートルぐらい離れていて、
近そうで遠そうな距離感の設定が上手い。

かれこれ10年以上、海やプールで泳いでいないし、
背泳ぎはできても、クロールではちゃんと泳げないので
ヒロインと同じような状況になったら万事休すです。


もうひとりの主役である鮫が、ちゃんと狂暴だったのが良いです。
なかなか食い意地が強くて、ヒロインを食べようと
最後の最後までしつこく追い掛け回す執念が凄まじい。


母の死で後ろ向きだったヒロインがピンチを通して、
「やってやろうじゃないの!」と冒険小説ばりに諦めずに孤軍奮闘する姿が勇ましく、
後半の追い込みは自然と応援してしまう。

鮫に噛まれた足の傷口を応急手当するシーンで、
痛みと傷口のグロさに吐きそうになりながらも、
根性で我慢するブレイク・ライブリーの演技が絶妙でした。

ヒロインが「くたばれ!」と鮫に向かって照明弾をぶっ放すのは
『ジョーズ』のクライマックスのオマージュぽかった。



ブルーレイ、Amazonビデオ(字幕版)(吹替版)







スポンサーリンク



    
   

ブログ画像RSS

【広告PR】