スミソニアンの王冠

『スミソニアンの王冠』   原題:The Demon Crown  ジェームズ・ロリンズ(著)

ハワイのマウイ島に滞在中のグレイ・ピアースとセイチャンは、巨大なスズメバチの群れに襲われる。
群れはハワイ島やオアフ島も襲撃し、多くの死傷者が出る事態に陥った。対応に追われるシグマフォ
ースのペインター・クロウ司令官は、スミソニアン協会の創設者ジェームズ・スミソンの遺品で、第二次
世界大戦中に盗まれた「悪魔の王冠」が、その件に関わっていることを知る。その裏で糸を引いていた
のは、大日本帝国の再興と、殺された妻の復讐を誓う伊藤隆志という人物だった。
一方、毒性学者のケン・マツイ教授からスズメバチがもたらす真の脅威について知らされたグレイたち
は、群れのコロニー化の調査に乗り出すが、その過程でセイチャンがスズメバチに刺され、体内に卵を
産みつけられてしまった……。(Amazonより引用)




『スミソニアンの王冠』のプロモ動画▼



Kindle版で、シグマフォースシリーズ12作目『スミソニアンの王冠』を読了。
発売されて間もないというのに例によって続きが気になって一気に読んでしまった。
前作の『モーセの災い』は終わり方がしんみりしていましたが、
『スミソニアンの王冠』の場合は逆にホッとした結末で、本作の方が好みでした。

メインのストーリーの直前には、グレイとセイチャンが登場する短編が収録されており、
こちらも面白く読めました。


今回の本は古代のスズメバチを復活させて、長年の野望を達成しようとする
影の組織に属すした日本人が悪役として登場。
しかも、その影の組織は長年シグマフォースが戦ってきたギルドの残党と来た!

訳あって世界各地を旅していたグレイとセイチャンが否応なしに陰謀に巻き込まれることに。
陰謀が二人を呼び寄せるのか、二人が陰謀を呼び寄せてしまうのか?
職業柄、急な呼び出しには慣れてしまっている節がありました。

作中では蜂の視点や生態が細かく書かれており、獣医だった作者ロリンズによる
お得意の生き物の描写が申し分なく発揮されています。


●いろんなスズメバチが登場して興味深いけど、やはり怖い!


シグマフォースの面々や一般市民に襲い掛かってくる大量のスズメバチが危険極まりなく、
さらには体内に幼虫を産みつけ、短い期間で羽化してしまうという恐ろしい存在。
一度スズメバチに刺されたことがあるので、その怖さと痛さは身に染みています。
スズメバチの縄張りに入ったりすると、カチカチと音を鳴らして威嚇してきたりする。

作中では斥候役、兵士役、女王蜂とそれぞれ役割を担ったスズメバチが登場し、
スズメバチの視点から見た行動や体内に寄生した幼虫の様子が細かく描かれ、
ジェームズ・ロリンズお得意の生物描写に腕を振るっていました。

また、羽のないスズメバチを使った拷問シーンもあったりと、
いろんな種類の蜂の生態が描かれていて飽きさせず、
3日間というタイムリミットが事態の緊急性に拍車をかけ、
緊迫感を高めていました。


●秘密基地は破壊してナンボ


大日本帝国の復活の野望に燃える影の組織が、
島と日本国内にスズメバチを研究する秘密基地を持っているのですけども、
往年の007シリーズに登場した秘密基地のようでワクワクしました。

訳あって、秘密基地は爆破ののち、破壊されてしまうのだけど、
これも様式美で大変よろしい展開でした。

今のダニエル・クレイグ版のボンドシリーズにも秘密基地が登場していますが、
とりあえず出しました、ハイ、爆破しましたと、素っ気ないので、
改めて秘密基地が破壊される段取りの重要性に気づかされました。

悪役の日本人ばかりではなく、善玉キャラの日本人も登場しているので、
その辺のバランスは取られていて、変な日本人名や描写もそんなになかったので、
引っ掛かる部分は少なかったです。
電気式じゃない古風なコタツが登場していたのが通っぽかった。


シリーズ次回作『Crucible』(原題)は、2020年春ごろに刊行が予定しているそうです。



●紙書籍(Amazon商品リンク)




シグマフォースシリーズ12 スミソニアンの王冠 【上下合本版】 (竹書房文庫)






スポンサーリンク



関連記事