
『AIの魔女』 原題:Crucible ジェームズ・ロリンズ(著)
クリスマス・イヴ、シグマフォースのグレイ・ピアース隊長の自宅から、恋人で
妊娠八カ月のセイチャンと、同僚のモンク・コッカリスの二人の娘が拉致され、
モンクの妻のキャット・ブライアントが意識不明で発見された。事件は数日前に
ポルトガルで発生したアメリカ大使たちの殺害と関連があり、その裏には最新
のAI(人工知能)の研究が絡んでいるらしい。プログラマーのマラ・シルビエラは
謎の男たちに追われ、自らが開発したAI「イヴ」を奪われてしまう。ペインター・
クロウ司令官の指示で調査のためヨーロッパに飛んだグレイたちは、魔女狩り
の時代から生き残る組織「クルシブル」による大規模なサイバー攻撃計画を知る。
そのターゲットはパリ、企みを阻止するための時間はわずかしかなかった。
(Amazonより引用)
『AIの魔女』のプロモーション動画▼
Kindle版で、シグマフォースシリーズ13作目『AIの魔女』を読了。
読了といっても、本が発売された4月中に読み切っていました。
何者かの襲撃によって、シグマフォースのメンバーであるモンクの2人の娘、
グレイの恋人で妊娠中のセイチャンが拉致され、キャットが意識不明の状態で
発見されるという不穏度マックスで幕開けたシリーズ13作目。
これまでにもなく切迫した話の展開が続き、
正直なところ息が詰まりそうな読み応えを感じました。
話の好みでいえば、前作の『スミソニアンの王冠』が好きでした。
今回キャットがかなりのピンチで、さすがのモンクも心中穏やかではない。
ムードメーカーのコワルスキが登場するも和みムードはどこへやらで事態は切迫しっぱなし。
襲撃の裏にはシグマフォースの因縁の相手が絡んでいた!
上巻はアクションが少なめでしたが、科学療法を使って、意識不明のキャットから手がかりを
掴もうとする場面や人工知能(AI)のイヴが創造される過程などで読ませてくれました。
下巻で危機を挽回するべく必死に反撃に打って出るシグマフォースの面々。
キャットの容態が刻々と悪化の一途を辿り、万事休すでヒヤヒヤした。
セイチャンは妊娠中で本来の戦闘能力を発揮できない中、脱出の機会を窺う。
前半で活劇が少なかった分、下巻ではフランスとスペインに移動しながらドンパチが起こり、
ライフルを撃ちたくてたまらないコワルスキが本調子に。
今回はモンクが人工知能のイヴと二人三脚で活躍し、義手が意外な形で物語に関わってくる。
元獣医であるロリンズさんお得意の動物ネタ(犬と狼)も組み込まれています。
不穏な内容だったけど、どうにか収まって良かった。
終盤には「もうひとつの結末」が収録されていて、
後味の悪さが尾を引いた感じで正にバッドエンディング。ホラー映画並みに救いなし。
昨今のcovid-19の蔓延状況と相まって、いつになく不安に感じさせました。
敢えて、その部分を読まない選択もアリかと。
次回作の邦訳本は来年に出版予定です。
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シグマフォースシリーズ13 AIの魔女【上下合本版】 (竹書房文庫)
■シグマフォースシリーズの感想
・シリーズ⑧『チンギスの陵墓』の感想
・シリーズ⑨『ダーウィンの警告』の感想
・シリーズ⑩『イヴの迷宮』の感想
・シリーズ⑪『モーセの災い』の感想
・シリーズ⑫『スミソニアンの王冠』の感想
Thoughts on 『AIの魔女』(上下)読了 別エンディングに要注意!