フェニキアの至宝を奪え

『フェニキアの至宝を奪え』   原題:The Navigator

クライブ・カッスラー、ポール・ケンプレコス(著)

イラク戦争時にバグダッドの博物館から盗まれた古代フェニキアの彫像。
それに触手を伸ばそうとする一味は悪徳古美術商を惨殺。さらには国連の
調査官をも狙うが、NUMA特別出動班のオースチンらに阻止される。それほ
どまでに躍起になって手に入れようとするその彫像の秘密とはなんなのか。
捜査を始めたオースチンは驚くべき時空探求の旅へと引きずり込まれる。
(Amazonより引用)





シリーズ第7弾。国際紛争の火種になる可能性を秘めた古代フェニキアの像を巡る陰謀に
巻き込まれたNUMAのオースチンが、像を探索するため世界各国を疾走。
コロンブス以前に古代人が大西洋を渡って、アメリカ大陸に到達していたという話は
他の作品でも描かれていました。

前作に比べると話の展開はゆったり目で、レギュラーメンバーのトラウト夫妻の登場も
上巻の後半になってから。ヒロインのピンチな場面で、ここぞという絶妙なタイミングで
オースチンが助太刀するのは冒険小説の主人公の特権です。
悪役バルタザールとその手下のキャラも悪くなかった。

敵のバルタザールによる執拗な追跡をかわしつつ、ソロモン王の聖遺物の探索を続ける
オースチンだったが、ヒロインのメカディが誘拐されてしまう。
バルタザールは人質を盾に、中世の馬上試合にオースチンに参加させて、危機に陥れようとする。
これは聖遺物の居所を吐かせるための行動なんだけど、なんとも回りくどいことをする。

この後逃亡したバルタザールの行方を追うのに、オースチンの昔の職業のコネが役に立った!
敵の手下(童顔の巨男)との直接的な対決がなく、罠におびき寄せて終わるのが味気なかった気がした。
皮肉な結果ではあるのだけど。










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